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2023.4.9

連続インタビューダイスター 第1弾:ストーリー原案:タカヒロ

いよいよ、本日4月9日(日)よりTOKYO MX、MBS、BS11ほかにて放送・配信がスタートするTVアニメ『ワールドダイスター』。放送直前を記念して、ストーリー原案のタカヒロさんに本作が誕生した経緯やキャラクターの魅力、見どころについてたっぷり語っていただきました。

 

――いよいよTVアニメ『ワールドダイスター』第1話の放送が始まります。まず、こちらの企画はどのような経緯でスタートしたのでしょうか?

タカヒロ 最初はプロデューサーの方々から「オリジナルアニメを何かやりませんか?」というオファーをいただいたんです。そこから皆さんと形を模索していきました。もう7、8年前になると思います。

 

――そんなに前から企画が動いていたんですね!

タカヒロ ええ。Mika Pikazoさん(キャラクター原案)がキャラクターデザインをされた輝夜月さんがブレイクしたときに、「一緒にお仕事をしてるMikaさんのデザインだ!」と思って応援したのを覚えています。ただ7、8年間ずっと企画を動かしてきたわけではなく、諸事情で止まったり進んだりしながら、放送に辿り着いたという流れです。

――“演劇”というテーマはどのように生まれたのでしょうか?

タカヒロ プロデューサーの方々からいただいた「こういうのをやってみませんか?」というアイデアの1つでした。その中でも最有力候補のジャンルだったと記憶しています。

 

――タカヒロさんは演劇というテーマについてどう思われましたか?

タカヒロ 自分が演劇をやっていたわけでも、特別詳しいわけでもなかったので、自分の知識で作っていけるのかという不安はありました。ただ、詳しい人もスタッフに招いて頂くというお話でしたので、チャレンジさせてもらいました。劇作家でもあり演劇や舞台にも詳しい江嵜(大兄)さんに戯曲脚本、演劇監修として入って頂いております。

 

――演劇が大ブームの「超演劇時代」、その世界で輝かしい演じ手が「ダイスター」と呼ばれているという設定が斬新だなと思いました。

タカヒロ ありがとうございます。演劇をテーマにするうえで大きく2つの路線が考えられたんです。現代の日本を舞台にしたシリアス路線でストイックに演劇を突きつめるか、あるいはしっかり演劇は見せるけどエンターテインメント性を大事にするか。結果的に後者となり、そのエンターテインメント性やセンスという設定を支えるために「超演劇時代」、「ダイスター」という世界観が生まれました。

――この企画が動き出してから演劇は結構ご覧になったのでしょうか?

タカヒロ そうですね。そこまで積極的にというわけではありませんが、スタッフの皆さんと行くこともありました。舞台という限定された場所で緻密かつ濃密にドラマを突きつめていくのがすさまじいと思いましたし、定番の感想ではありますが、生の迫力はすごかったです。ずっと見入っていました。

 

――なかでもよかった演劇はありますか?

タカヒロ 自分は動きのあるものが好きなんだなと思いました。それこそ定期的に舞台化されている『魔界転生』(山田風太郎原作)は迫力があって面白かったですし、あとは江戸川乱歩の明智小五郎ものもお気に入りです。

 

――では、ストーリー原案としてアニメにはどのような関わり方をされているのでしょうか?

タカヒロ キャラクターの設定と世界観、そして物語の大枠を作ることです。それをシリーズ構成の中西やすひろさんがアニメに落とし込んで、構成を考えてくださったという流れでした。各話のシナリオは中西さんと江嵜さんにやっていただいているので、シナリオそのものは書いていませんが、シリーズ構成とシナリオの打ち合わせには同席して、そこでキャラクターの設定や世界観に合わせてセリフなどを指摘させて頂いたりしてました。

劇中劇の選定などはスタッフみんなで考えていきましたが、やはり江嵜さんがいろいろなアドバイスをしてくださって、とてもありがたかったです。他にも、シナリオの段階で練習の仕方や舞台のルールなどをチェックしていただきました。

――主人公の鳳 ここなとその親友である静香についてもうかがえますでしょうか?

タカヒロ ここなは明るく元気で大きな目標があるけれど、でも弱気になることもある、スポ根ものに出ていてもおかしくないような王道の主人公です。主人公はアニメでもドラマCDでもどんな媒体から発信しても、その中心になるような子にしたいと考えて、このような性格になりました。

静香はここなとは正反対の強気、勝ち気な性格で、悩みがちなここなの背中を押したり、その手を引っ張ったりして、彼女を支えていきます。かなり鋭い口調の時があって(笑)。そこも注目ポイントになるかなと思います。全部を通して見てから見直すと「なるほど」と思うところも、ひょっとしたらあるのかもしれません。

 

――親友でありながらも性格は真逆なんですね。

タカヒロ イメージカラーもここなは赤、静香は青であり、お互い対極にいる存在なんです。お互いに持っていないものをそれぞれが持っていて、それを補い合い、切磋琢磨していきます。

――オーディションでキャストを決められたそうですが、2人を演じる石見舞菜香さんと長谷川育美さんの決め手はどんな部分だったのでしょうか?

タカヒロ ここなは基本的に演技力はあるんですが、あまり自分に自信がなく弱気になってしまい、静香に叱られることがあります。ですので演技がうまいことはもちろん、自信のなさや弱気なところを出していただける方にお願いしたいと思っていました。石見さんは綺麗な声の中にそういった感情を滲ませるのがとても上手だったので、自分は石見さんにお願い出来れば良いなと思いました。

感情を表に出すことが多い静香は、気持ちを強く乗せたお芝居が必要になります。そのうえ、ここなに急にお芝居を振られても即座に演じられる対応力がある。長谷川さんは全体的なバランスの高さがすさまじく、説得力のあるお芝居を聞かせてくださったのが個人的には決め手になりました。

 

――2人について、どんなところを見てほしいですか?

タカヒロ 「超演劇時代」という世界観の中で、2人は非常に独特の関係を築いています。とても仲よさそうに見えるけれど、真なるものはいったいなんなのか……。そこに注目していただきたいです。

 

――2人が所属する劇団「シリウス」についても聞かせていただけますか?

タカヒロ シリウスという劇団は若手の女性のみで構成された“少女劇団”という大きな特徴があります。演劇の中に歌を混ぜていく演目が多いというタイプですね。他の劇団員については、主人公のここなが生まれたあと周囲を固めていきました。ライバルキャラに憧れのキャラクター、厳しい指導役に不思議な先輩たちと、個性的なキャラクターがたくさんいるので、ここなと静香以外のキャラクターにも注目していただけたら嬉しいです。

 

――演劇シーンにも期待が高まります。

タカヒロ 演劇シーンは細かい動きまでしっかり考えて作って下さっていると思います。。絵コンテもかなり特殊で、実際に生身の役者さんが演じた映像がベースになっているんです。リアリティのある動きになっているので、より真に迫ってくるのではないかなと思います。

 

――ありがとうございます。放送を楽しみにしております!

タカヒロ 物語自体は、主人公が憧れの劇団の入団試験を受けにいくというシンプルなものです。なので、難しく考えずに楽しんでいただければなと思いますが、スポ根的な王道の流れの中に、“少し変わった演劇もの”としての要素や女の子同士の友情なども入っていますので、そういう部分にも注目していただけたら嬉しいです。