ANIME

──最初に「ワールドダイスター」という作品について、どんな印象をお持ちになりましたか？

大空　題材は演劇ですが、「畑は違っても声優のお仕事にも通じるはず」と感じていたので、ぜひ関わらせていただきたいと思っていました。私自身は舞台の経験があるわけではなかったので、「スキルアップにも繋がる！」という挑戦の気持ちもありました。

佐々木　私はもともとミュージカルの経験があり、演劇を題材とした作品も大好きだったので、「面白そう！」というのが第一印象でした。相当なプレッシャーもありましたが、「この作品のオーディションに受かったら、すごい自信につながる！」と思えたんです。

──ぱんだと知冴の役作りで意識したのは、どんなことですか？

大空　ぱんだは、キャラクターの資料に「腹黒計算型リアリスト」と書いてありまして、クセの強い素晴らしいキャラクターだと感じました。実際に劇中でも、状況を分析しつつ、意味深なセリフを呟くことが多くて（笑）。「こんなに腹黒そうに見えて大丈夫だろうか」、「悪そうに見えても平気かな？」と思いつつ、１シーンごとに込められた意図を確認しながら、お芝居を組み立てていきました。

佐々木　さっすーは不思議な子です。普段はフワフワしてボケっとしているのですが、舞台に立つとスイッチがカチッと入るタイプ。私もアーティスト活動をするときは憑依型で、普段との切り替えを意識していたので、その感覚に共感できるところはありますね。彼女のギャップを魅力に変えられるように意識しました。

──ぱんだと知冴の間には、他のキャラクター同士にはない結びつきを感じますね。

佐々木　私はぱんだちゃんのさっすーに対するツッコミが大好きで（笑）。周囲が「深い……」と感じるような発言や行動も、実は知冴自身は「何も考えていない」ことってあるじゃないですか。それに対するぱんだちゃんの鋭いツッコミが心地よいです。さすぱんの2人が醸し出す空気は、とても可愛いと感じますね。

大空　2人は小学生時代から一緒ですし、アフレコも常に「さすぱん（知冴とぱんだ）」の2人はセットでしたから。役作りの上でも、ぱんだのさっすーに対する態度だけは、素の雰囲気や地の部分を意識して演じました。

佐々木　思い出すのは第四場で、さっすーがぱんだちゃんの言い方を真似するシーン。あまりにも難しくて、自分の想像では限界がありました……。そこで実際に（大空さんに）ぱんだちゃんのセリフをしゃべってもらって、それを真似して演じました。

大空　小さいころからずっと一緒だから、絶対モノマネが上手いはずなんですよね。

佐々木　そうなんです。きっとお互いにモノマネしていますよね！

──劇中劇の演技は、普通のアフレコとは、違う演技を意識しましたか？

大空　まず「観客席に声を届けるような意識で」というディレクションは、常に念頭に入れていました。 ただ、声優はマイクを通して声を伝えて行くことが基本ですから、肉声を伝えることの難しさは痛感しました。特に森なな子さんや、舞台経験のあるキャストさんたちのお芝居を見て、身が引き締まりました。

佐々木　そうですね。「目の前に客席がある」とイメージしながらお芝居しました。

大空　ここなちゃんたちよりも、先輩ポジションというのもプレッシャーでしたね（笑）。

──キャラクターを演じつつ、劇中劇の役作りも必要だったのでしょうか？

大空　ディレクションでは、「キャラクターは意識しなくてもいい」ということでしたので、舞台ごとの役に合わせて演じることが基本でした。舞台で演じるのは別人ですから、「キャラクターが役を演じている」という意識は完全に取り払っていますね。ぱんだにしても本気のお芝居で舞台に臨んでいるわけですから、きっと自分らしさを残す気持ちはないと思うんです。

佐々木　最初は無意識に、さっすーに寄せて劇中劇の役を演じていたのですが、「別の演技でいいよ」というディレクションがあったおかげで、完全に切り替えて演じられるようになりました。
実際のアフレコでも、アニメの映像に声をあてるのではなく、生身の演者さんに合わせて演じることができたのも大きかったですね。キャラクターというよりは、演者さんの動きや息遣いを意識していたと思います。

──ぱんだと知冴が持つセンスについては、どんな印象を受けましたか？

大空　ぱんだの「観客の求めている心の声を聴いて演じられる」というのは、役者としてすごい能力ですね。常に情報分析してエゴサも欠かさない子ですから、実にぱんだらしいセンスだと思います。私も「視聴者のみなさんがどう感じるのか」を意識してアフレコに臨んでいるので、共感する部分があります。また、情報分析力で仲間の細かい心情の変化も察しているので、腹黒とは言われつつも、基本は優しい子なんだろうなと。

佐々木　さっすーのセンスは、舞台上で起こったどんなミスも演技にしてしまう能力です。舞台はトラブルがつきものなので、それをチャンスに変えてしまうさっすーは、自分で運をつかんでいく人だと感じます。私はさっすーと違って本番に弱いタイプなので、一緒にいてくれると心強いでしょうね。

──第八場で行われた演目は「ロミオとジュリエット」で、知冴とぱんだが中心のエピソードになり、2人の過去や思いが描かれました。

大空　いつか我々の回が来ると信じていたので……。

佐々木　「さすぱんこい！」「さすぱんこい！」と願っていました（笑）。アフレコは楽しみでもあり、プレッシャーもありました。ただ、隣で大空さんが仕切りのカーテンをワシャワシャしたり、オープニングを口ずさんだんりして、和ませてくださって（笑）。ピリッとし た空気感だったのですが、とても楽しくリラックスして臨むことができました。

大空　それは私も緊張していて、思わずワシャワシャしてしまったんです（笑）。第八場は、２人の幼少期の話ができましたよね。私はオーディションの段階で、幼いころからの２人の関係を知っていたので、「ここでいよいよクローズアップされるんだ！」と思うと嬉しかったですね。
ぱんだは努力型なので、天才型のさっすーに対しては、ずっとうらやましかったり、悔しかったりする気持ちを抱えていたんです。そういう部分に、人間らしさや役者らしさを感じさせてくれて、大事なエピソードだと思って演じました。

佐々木　２人の歌も素敵でしたね。「ワールドダイスター」の曲は、劇中劇で歌う曲なので、さすぱんではなく、あくまでロミオとジュリエットとして歌っています。大空さんが先に収録されたのですが、ジュリエットがロミオに寄り添い、包み込むような気持ちを感じながら歌いました。

──「ロミオとジュリエット」という作品を演じることについては、どんなお気持ちでしたか？

大空　シリウスは有名な作品でも、アレンジしていることが多いじゃないですか？　「ロミオとジュリエット」は悲劇的な結末を想像されるかもしれませんが、シリウス版はハッピーエンドにアレンジされていてよかったです。

佐々木　第八場のストーリーにも合っていましたし、さすぱんの絆がより深まったシーンとしても、ハッピーエンドで良かったと思いました。

──今後の展開について、見どころをお聞かせください。

大空　シリウスの役者同士の熱意がぶつかり合い、高まっていくことで、クライマックスも大きな盛り上がりを見せます。役者として共感できることもありますし、ひとりひとりの真剣さを強く感じるエピソードもあります。とても熱い展開で、今後は彼女たちにとって大きな山場がありますので、ぜひ期待していただきたいです。

佐々木　最初はシリウスのみんなで、助け合いながら舞台を作っていった雰囲気がありましたが、終盤に行くにしたがって「ワールドダイスターを目指す役者同士のぶつかり合い」という展開になっていきます。お芝居を経験している方も、そうでない方も共感できるクライマックスになっていると思いますので、彼女たちと同じ気持ち、同じ青春を一緒に味わってほしいと思います。

──最後にファンのみなさんへメッセージをお願いします。

大空　シリウスのみんなを応援してくださって、本当にありがとうございます。私もぱんだのように、SNSで「#ワールドダイスター」と調べながら、みなさんの感動を拝見してます。彼女たちの心の動きに共感してくださったり、 予想外の展開に驚いてくださったり、不穏な展開にドキドキしてくださったり、さまざまな感想を楽しませていただいています。これから物語は大きなクライマックスを迎えますので、ぜひたくさん感想などを書きこんでください。どうぞよろしくお願いいたします！

佐々木　第八場まで見てくださってありがとうございます。私もみなさんの感想を見るのが大好きです。細かい部分に気づいてくださったり、キャラクターのお気に入りポイントを書いてくださったり、みんなで「ワールドダイスター」を楽しんでいるのが「本当に幸せだなぁ」と毎週感じています。最後まで一緒にドキドキしながら、 クライマックスを楽しんでほしいです。TVアニメだけではなく、ゲームアプリもあり、11月12日にはライブイベントもありと盛りだくさんですので、これからも一緒に「ワールドダイスター」を楽しんでいただければと思います。